認定経営革新等支援機関である税理士が実務解説|固定資産税減免(コロナ特例)
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2021.01.15
税金
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固定資産税減免の申告期限は令和3年2月1日まで
昨年の新型コロナウイルス感染第1波以降、現在も多くの中小事業者が苦境に直面しています。
そうした中小事業者に対して、令和3年分に限り、固定資産税が減免されることは、既にご存知の方も多いはず。
しかしながら、これらの減免措置を受けるためには、認定経営革新等支援機関等の確認を受け、かつ、それぞれの事業所の所在する市町村に期限内に申告書を提出しなければなりません。
今回は、この固定資産税の減免措置の概要、適用を受けるために必要な書類や手続き、認定経営革新等支援機関が申告書を確認する際のポイントなどを、認定経営革新等支援機関である税理士が解説します。
コロナで売上減少したら令和3年分の固定資産税が減免
固定資産税は、毎年1月1日に土地や家屋、償却資産(これらを総称して固定資産といいます)を所有する個人や法人に対して課税され、所有する固定資産の価格をもとに算定された税額を、所在する市町村に納付することとされています。
令和3年分に限り、新型コロナウイルス感染拡大の影響により厳しい経営環境にある中小事業者等の税負担を軽減する目的から、これらの事業者等の売上減少幅に応じて、固定資産税を1/2、もしくはゼロとする旨の法律改正(地方税法附則第61条、正確には税額の減免ではなく、課税標準の減免)が行われました。
固定資産税等の減免措置の概要
新型コロナの影響で売上が減少した中小事業者等に対し、2021年度(令和3年度)の固定資産税等を減免する旨、中小企業庁より公表されています。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2020/200501zeisei.html
減免の対象となる者
次のうち、令和2年2月から10月までの任意の連続する3か月間の売上が、前年同期比で30%以上減少している者が対象となります。
判定の際は、法人の場合、自社だけでなく、親会社の資本金の額の確認も必要となりますので、ご注意ください。
(1)法人(いずれも、大企業の子会社等の場合を除く)
・資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人
・資本又は出資を有しない法人のうち、従業員が1,000人以下の場合
(2)個人
・従業員が1,000人以下の場合
減免の対象となる税目
減免の対象となるのは、事業用家屋及び償却資産(※)にかかる固定資産税(通常、評価額の1.4%相当)、及び事業用家屋にかかる都市計画税(通常、評価額の0.3%相当)、となります。
なお、償却資産税については、所有する償却資産の課税標準額合計が150万円(免税点)未満の場合、そもそも免税となり、今回の対象とはなりません(例えば、令和2年度の納税通知書が届いておらず、令和2年度に新たに償却資産を取得していない事業者等が該当します)。所有する償却資産税の課税標準がわからない方は、所在する市町村の資産税課に問い合わせをしてみるといいでしょう。
固定資産税等の減免率
適用を受けようとする中小事業者等の判定の対象となる期間売上が対前年同期と比べて、
(1)30%以上50%未満の場合には、2分の1を、
(2)50%以上の場合には、全額が減免となります。
令和2年2月~10月までの任意の連続3か月間の売上の対前年同期減少割合 | 減少率 |
30%以上50%未満の減少 | 1/2 |
50%以上の減少 | ゼロ |
減免措置の適用手続
減免の適用を受けようとする中小事業者等は、特例対象資産(事業用家屋、償却資産)の所在する市町村(東京都23区は都税)に対して、各市町村が定める「特例措置に関する申告書」に必要事項を記載し、その記載内容について認定経営革新等支援機関等の確認を受けた後、令和3年度償却資産税申告書(該当がある場合)、及び確認書類一式とともに提出しなければなりません。
なお、固定資産税等の減免措置を受けるための手続は、次の通りです。
(固定資産税減免措置_フロー図(中小企業庁資料より抜粋))
(1)中小事業者等が各市町村HP等より申告書様式を入手し、申告書を作成
(2)事業収入割合(売上減少率)の確認
令和2年2月~10月の任意の連続する3ヵ月及び前年同期間の売上(※1)を確認し、それぞれの合計額から
事業収入割合を計算します
(※1 ) 経常的な事業収入(給与所得、補助金・助成金収入、営業外収入を除く)の各期間
合計(店舗や事業ごとではなく、事業主全体での合計)で判定
【確認書類】会計帳簿、青色申告決算書または法人税申告書(法人事業概況説明書)など
(3)対象となる資産を確認
事業用家屋(※2)については、減価償却資産として確定申告をしていること(棚卸資産は対象外)、また、
償却資産(※3)については、償却資産申告書の種類別明細に記載された資産であることが要件となります
(※2 )事業用・居住用一体の家屋については、事業用部分のみが減免対象、また、所有者と
適用を受けようとする中小事業者等が不一致の場合は対象外
(※3)オペレーティングリースや信託など、所有者と適用を受けようとする中小事業者等が
不一致の場合には対象外
【確認書類】
(事業用家屋)令和2年度課税明細書(新築の場合は、不動産登記簿)、法人税申告書(別表16)、
所得税青色申告決算書(白色申告の収支内訳書)など
(償却資産)令和2年度償却資産税申告書の種類別明細(これ以外に令和3年度の償却資産税申告が必要)
(4)以下の事項について誓約
適用を受けようとする中小事業者等は、以下の事項について誓約しなければなりません
・新型コロナウイルスの影響で売上が減少したこと
・性風俗関連特殊営業でないこと
・大企業、または大企業の子会社等でないこと
(5)認定経営革新等支援機関等が確認
特例措置に関する申告書に記載された事項について、認定経営革新等支援機関等(※4)が確認を行い、
確認後、確認者は記名、押印を行います
(※4)税理士、公認会計士、中小企業診断士、金融機関、商工会議所、商工会、青白申告会など
(6)特例措置に関する申告書、及び確認書類一式を各市町村に提出
提出期限までに、特例措置に関する申告書、(別紙)特例対象資産一覧、認定経営革新等支援機関が確認
に要した書類一式、令和3年度償却資産税申告書(該当者のみ)を、各市町村の資産税課へ提出します。
なお、記載内容について虚偽の申告をした者には、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処される場合
があります。
特例申告書の提出期限
固定資産税等の減免措置を受けるためには、必要書類を令和3年2月1日(本来期限は、令和3年1月31日ですが、休日のため令和3年は2月1日となります)までに、各市町村に特例措置に関する申告書、及び(別紙)特例対象資産一覧、確認書類一式を提出しなければなりません。この特例措置は、申告書の期限内提出が適用要件となっています。
提出期限までに提出することができない、やむを得ない事情がある場合(例えば、事業者本人が新型コロナウイルスに感染した場合などが想定されます)には、一応法律上の救済措置がありますが、各市町村の資産税課の判断となりますので、その場合には事前に確認をした方がよろしいでしょう。
また、提出期限間際は、本来の償却資産税申告書の提出期限でもあります。ただでさえ、各市町村の担当者は手一杯の状況になりますので、特例措置に関する申告書類の確認に時間を要するものと想定されます。期限ギリギリの提出により、書類不備(例えば、記載内容の誤り)等の理由で期限までに申告書が受理されなかった場合、修正は認められずに適用が受けられなくなりますので、余裕をもって早めの対応を心がけましょう。
認定経営革新等支援機関等の確認が必要
固定資産税等の減免措置を受けるためには、中小事業者等は、特例措置に関する申告書を作成するための資料準備は当然として、申告書の作成を自らが行うこととなります。各市町村のHP等には申告書記載例がありますが、最終的には、認定経営革新等支援機関等に申告書の記載内容を確認してもらわなければなりません。
一方、認定経営革新等支援機関等が確認すべき項目については、中小企業庁から確認業務マニュアルが公表されており、記載内容の確認はマニュアルの手順に従って進められることとなります。申告書を作成する前に、認定経営革新等支援機関等に相談しておくと確認作業も滞りなく終了することでしょう。早めに資料を揃え、事前に相談することをお勧めします。
なお、当事務所につきましても経営革新等支援機関の認定を受けております。
今回の固定資産税等の減免措置に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。